公共交通機関における防災・避難経路の案内は、利用者の安全に直結する重要な情報です。 その中でも、札幌市交通局が公開している東西線ひばりが丘駅の避難経路図 は、非常に分かりやすく秀逸なデザインだと思いました。
この図は、特に洪水や集中豪雨による駅構内への浸水を想定した「避難確保計画」の一環として作成されたものです 。
この経路図が特に優れている点について
瞬時に構造を理解できる「立体図(鳥瞰図)」
この図は、駅全体を斜め上から見下ろす立体的な形式を採用しています。これにより、利用者が今いる「B2F(ホーム)」と、避難先となる「B1F」 や地上出口との位置関係を、平⾯図よりもはるかに直感的に把握できます。パニック時でも瞬時に理解できることが重要です。
明確で迷わせない「動線の可視化」
避難方向を示す「赤い矢印」が非常に明快です。利用者はこの矢印に従うだけで、ホームからどの階段を上り、どの出口(出口2、出口3、出口4など )へ向かうべきかが一目瞭然です。単なる地図ではなく、「何をすべきか」が示されています。
多様な利用者に配慮した「英語併記」
「出口」に「Exit」、「ホーム」に「Platform」といった表記など、主要な案内に英語が併記されています。これにより、日本語を母国語としない旅行者や居住者も、遅滞なく情報を理解し、安全に避難行動をとることができます。
計画では、浸水などの避難時にはエレベーターやエスカレーターが使用できないことも明記されています 。 いざという時、誰もが迅速に行動できるよう工夫された、情報デザインの素晴らしいお手本と言えるでしょう。




投稿者プロフィール

- 避難図研究所 所長
- グラフィックデザイン好きな40代。趣味は色んな地域へ行くこと。 「機能美は最高の安全性能」という言葉に共感し、特に避難経路図のような「いのちを守るデザイン」に強く魅了されています。
旅先で出会う、その土地ならではの機能的なデザインに触れるのが楽しみ。
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